旅行家 甲斐鐵太郎の自然博物誌No.02 日本アルプス立山の山崎圏谷に人の過去と未来をみる
(7月18日撮影)
(副題)人は氷河期に人となり今日に至った
エッセーの部屋


 
写真は立山の雄山(3,003メートル)の西に広がる山崎カール(圏谷)。 
 
(本文)

 この山崎カールは明治38年(1906)8月、山崎直方(やまさき なおまさ)博士によって発見され、日本にも氷河があった証拠として説明された。この雪渓の東側には内蔵助カールがあり、その先には規模壮大な雪渓が万年雪を真この砂沢を埋めている。この雪渓は古い昔の雪を残しているので、それを調べることによってその時代の気象ほかのようすを探り出すことができるということで、ボーリング調査が行われている。

 山崎直方(博士)氏は明治3年(1870年)4月10日生まれで、 昭和4年(1929年)7月26日没。高知県の生まれ。第一高等学校 (旧制)を経て、1895年に東京帝国大学理科大学(現・東京大学)の地質学科を卒業。1897年に第二高等学校 (旧制)(現・東北大学)の地質学の教授に就任。1898年から1901年までドイツとオーストリアへ地理学研究のため留学。地理学者のヨハネス・ユストゥス・ラインやアルブレヒト・ペンクに指導を受ける。帰国後、東京高等師範学校の地理学教授に就任。1911年には東京帝国大学理科大学教授に就任。山崎カールは規模は大きくないが堆石(モレーン)が何段かあって氷河痕であることを説明するに十分な内容であった。日本の高山にはいくつもカールがあるのでカールを訪ねての山歩きを副題にするのも一興であろう。

 地球は暖かくなったり寒くなったりを周期的に繰り返している。氷河期は、地球の気候が長期にわたって寒冷化する期間で山岳地の氷河群が拡大する。最後の氷河期は1万年前で、現在は氷期と氷期の間の間氷期にあたる。この数百万年の間に、4万年から10万年の周期で氷期が起こり、その間にも小氷期、小間氷期が認められる。ヨーロッパでは氷期が「ギュンツ」、「ミンデル」、「リス」、「ウルム」の4つに区分されている。

 人の祖先は50万年ほど前に発生し、5万年から10万年ほど前に人となって、この時期にアフリカを出発して各地に広がったというのが定説である。人が形成される時期と周期の氷河期とが重なっているので、人は氷河期によってつくられて氷河期を生き延びてきた動物である。ここには間氷期があるから人は気候変動とともに生きてきた動物ともいえる。海が近くなったり遠くなったり、森林が消えたり戻ったりの環境を経てきた人と動物の歴史があることを知っておきたい。北の地におしださる動物や植物がとりのこされて夏にも雪が残る山岳地で生きているのである。雷鳥をみて、高山の花々をみて、高山の蝶をみたら、ご苦労さんの声をかけてやってもいいだろう。

 ところでいまの地球が総合するとどのような状態におかれて、人類の産業活動が地球環境にどのように影響しているのか、そしてこの先どうなるのか、といった事柄について確かな回答や説明をするのは難しい。日本の産業と経済についてもこの先どのようになっていくかの予測をすると、油をどんどん燃やして、油を加工してモノにしたりする産業よりも知識や知恵を巧みにもちいて衣食住ができるようし、また経済産業文化を築いていくことになることであろう。山の大雪渓や圏谷(カール)や動植物は人に生きる未来の示唆をしている。

 (写真と文章は旅行家 甲斐鐵太郎) (書き殴って読み返しておりません。誤字、表現の不適切さなどについてはご容赦を)

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