20代の前半に東京都九段に住んでおりました。暑い都心の夏に閉口して午後には信州方面の列車にのって山の麓のに駅で始発のバスに乗って山を歩くということをしたこともあります。オリンパスの一眼レフかめたのOM−1というのに焦点距離50ミリメートルのレンズが1本ということでしたが、これで写真を撮っておりました。
午後からでかけた大山の登山道でみかけた白い大きな綺麗な花に見とれてこのカメラで写真を撮りましたがそれが山百合(ヤマユリ)だったのです。いま流行の真っ白な百合の花のカサブランカとは違いヤマユリは白い花びらに朱点が混じり、花粉などの黄色の色もみえます。山の斜面から道路沿いを覗くように茎を伸ばして咲くヤマユリは夏の花です。
セミが鳴き出すと夏が来たと思いますが、ヤマユリの花が咲いたのをみるとやはり夏が来たのだと確認しなければならないのです。嬉しいのですが、夏が好きな私はこの夏が早く過ぎて行かないことをも祈るのです。春になったと思うと間もなく畑の雑草がわんさと伸びるので苦労するのですが、そのうちにオニヤンマを見たと思うとヤマユリが咲き始めるのです。
レンゲツツジが車山を朱に染めて、つづいてニッコウキスゲが黄色の絨毯を広げるのが霧ヶ峰の夏です。車山の登山道にはノビタキが人の間近でさえずります。
私の住まいの相模川のほとりの日陰の道ではアカハラが目の前を飛び交います。冬に見かけるカラの仲間は人にあまり姿を見せません。ホオジロもときおり姿を見せるだけです。アカハラがうるさいほどに泣いている年もあるのですが、そうでない年があるのはなぜだかよくわかりません。ツツドリのホー、ホーという声を今年は住まいの周辺で聞いていません。「特許許可局」のホトトギスは健在です。