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計量計測データバンク ニュースの窓-435-
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├計量計測データバンク ニュースの窓-435-警察庁総合職における昇進・階級制度と経験年数の関係 総合職(キャリア)は採用直後から警部補、ノンキャリアは巡査から出発
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· @横田俊英
日本の警察組織においては、都道府県警察官(いわゆる「ノンキャリア」)と、国家公務員採用総合職試験(旧・国家公務員採用I種試験)に合格し警察庁に採用された職員(いわゆる「キャリア」)との間で、階級への昇任速度に大きな差が存在することが知られている。ノンキャリアは巡査から出発し、昇任試験や選考を経て時間をかけて階級を上げていくのに対し、キャリアは採用直後から警部補の階級を与えられ、その後は年次に応じてほぼ自動的に上位階級へ昇任していく仕組みが取られてきた。
本稿は、警察庁総合職(キャリア)出身者の昇進(階級)事情について、経験年数(勤続年数・年次)との対応関係を整理し、その制度的背景と、近年の見直しの動きを含めた課題を論じることを目的とする。まず警察組織における階級制度の概要を確認したうえで(第2節)、総合職出身者の任用制度(第3節)、経験年数と昇任階級の対応関係(モデル人事)(第4節)を具体的に示し、ノンキャリアとの比較(第5節)を行う。そのうえで、早期昇進制度の合理性と課題について考察し(第6節)、結びとする(第7節)。
警察法上、警察官の階級は下位から順に、巡査、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監の9階級に区分される。警視総監は警視庁(東京都警察)の長を指す階級であり、全国でただ1名である。警視監は警察庁次長や警視庁副総監、大規模道府県警察本部長等に充てられ、全国で数十名程度にとどまる。警視長は主に警察庁の課長級・道府県警察本部長級であるとともに、都道府県採用のノンキャリア職員が到達しうる事実上の最高位とされる。警視正は警察本部の部長級・警察署長級に相当し、総合職(キャリア)出身者は概ねこの階級までの到達が確実視される一方、ノンキャリア職員にとっては到達がきわめて困難な階級とされる。警視は警察署長・本部課長補佐級、警部は課長・係長級、警部補は係長級として現場実務を統括し、巡査部長・巡査は現場執行を担う階級である。
階級が上がるにつれて定員は急激に減少し、いわゆるピラミッド型の階級構成をとる。例えば警視庁を例にとると、巡査が全体の約35%、巡査部長が約30%を占める一方、警視は全体の2.7%程度にとどまり、警部以上はごく少数に限られるとされる。
警察庁総合職は、事務系(警察庁警察官)と技術系(警察庁技官・科学警察研究所研究員)の2区分で採用が行われている。総合職試験に合格し警察庁に採用された職員は、都道府県警察官採用者が巡査から出発するのとは異なり、採用当初から警部補の階級を付与される。
採用後は警察大学校における研修と、都道府県警察における現場実務の見習い勤務を経て、実務経験を積みながら順次上位階級に昇任していく。従来の制度では、見習い勤務期間は概ね9か月程度とされ、その後警部への昇任は採用から1年2か月程度、警視への昇任は採用から4年目程度で行われるという、きわめて早期の昇進スケジュールが組まれていた。
しかし、こうした急速な昇進は現場経験の不足を招き、指揮官が「国民の感覚から遊離」しているとの批判を招いたことから、2000年前後の警察改革論議においては、見習い勤務期間を従来の2倍程度に延伸し、交番勤務期間を3〜6か月程度に拡大するとともに、警視への昇任時期を採用後7〜8年程度まで遅らせる方向での見直しが図られた。
複数の実務解説記事等をもとに、総合職(キャリア)出身者の標準的な昇任モデルを年齢・経験年数の目安として整理すると、概ね以下のようになる。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、実際の昇任時期は個々人の配置や勤務成績、時々の制度改正によって変動する。
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階級 |
年齢の目安 |
経験年数(勤続年数)の目安 |
|---|---|---|
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警部補 |
22歳前後 |
採用直後(0年) |
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警部 |
24歳前後 |
1〜2年目 |
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警視 |
26〜30歳前後 |
4〜8年目(改革後は7〜8年目) |
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警視正 |
35〜40歳前後 |
11〜16年目以降 |
|
警視長 |
45歳前後 |
22年目以降 |
|
警視監 |
49〜52歳前後 |
25年以上 |
|
警視総監・警察庁長官級 |
55〜60歳前後 |
30年以上 |
この表が示す最大の特徴は、階級と年齢・経験年数がほぼ一対一で対応しており、選抜的な試験や競争を経ずに、年次に応じてほぼ自動的に昇任していく点にある。ノンキャリア組が経験年数を重ねても昇任試験や選考に合格しなければ上位階級に進めないのに対し、総合職出身者は、よほどの事情がない限り、年次に応じた「標準コース」を歩むことが制度的に予定されている。
都道府県警察官として採用されるノンキャリア職員は、巡査を出発点とし、巡査部長・警部補・警部への昇任にあたっては、それぞれ昇任試験(筆記試験・論文試験・術科試験・面接等)に合格する必要がある。大学卒業者では概ね採用から2年程度、それ以外では概ね4年程度で最初の昇任試験受験資格が得られるとされるが、これはあくまで受験資格であり、実際の昇任には試験合格が前提となる。警視以上への昇任は、試験ではなく勤務成績や上司の推荐等に基づく選考によって行われる。
年齢・経験年数の目安で比較すると、ノンキャリア職員が警部に到達するのは30代半ばから40歳前後が一般的とされ、警視に到達する者は「ほぼ皆無」に近いとされる。警視正への到達は50代半ばから後半にかけて、ごく一部の例外的な人材に限られ、警視長はノンキャリア職員にとって事実上の最高到達階級とされる。
このように、総合職出身者(キャリア)は22歳で早くも警部補として出発し、20代のうちに大多数のノンキャリア職員が生涯到達できない警視の階級に到達する一方、ノンキャリア職員は数十年の現場経験を重ねてもなお、キャリア組が30代で到達する警視正の階級にすら到達できないケースが大半である。両者の間には、単なる昇進速度の差にとどまらず、到達しうる階級の上限そのものに構造的な差異が存在する。
総合職出身者に対する早期かつ年次連動的な昇進制度には、一定の制度的合理性が指摘されてきた。第一に、都道府県警察を横断して全国的な視野を持つ幹部候補生を計画的に育成し、警察庁・管区警察局・都道府県警察本部の幹部ポストへ計画的に配置していくためには、一定の年次で一定の階級に到達させる必要があるという人事管理上の要請がある。第二に、キャリア組は数年ごとに警察庁と都道府県警察本部との間を異動しながら多様な職務を経験させられることが多く、こうした計画的な人材育成と早期の階級付与は表裏一体の関係にあるとされる。
他方で、この制度は繰り返し批判の対象ともなってきた。最大の論点は、現場経験の絶対的な不足である。採用からわずか1〜2年で警部、数年で警視という階級に達する一方で、その間の現場勤務(交番勤務等)の期間は限定的であり、指揮官として現場の実態や国民感覚から乗離しているのではないかという指摘がなされてきた。実際、2000年前後の警察に対する信頼低下を背景とした制度改革論議の中では、見習い勤務期間の延伸や交番勤務期間の拡大、警視への昇任時期の後ろ倒しなど、現場経験を厚くする方向での見直しが図られている。
また、キャリアとノンキャリアの間の昇進速度・到達階級の格差の大きさそのものが、組織内の士気や公正性の観点から問題視されることもある。年次に応じてほぼ自動的に階級が上がっていく仕組みは、能力・実績本位の人事とは異なる原理で運用されており、その正当性は「全国的な人材育成」という制度目的との関係で常に問い直される必要がある。
本稿では、警察庁総合職(キャリア)出身者の昇進(階級)事情について、経験年数との対応関係を中心に整理した。総合職出身者は採用直後に警部補の階級を付与され、その後は年次に応じてほぼ自動的に警部・警視・警視正・警視長・警視監へと昇任していく仕組みが取られており、この点でノンキャリア職員とは根本的に異なる昇進構造を有している。こうした早期・年次連動的な昇進制度は、全国的な視野を持つ幹部候補生の計画的育成という制度目的に支えられている一方、現場経験の不足やキャリア・ノンキャリア間の著しい格差という課題を抱え続けており、2000年前後の制度改革論議に見られるように、その見直しが断続的に図られてきた。今後も、幹部候補生の計画的育成という要請と、現場経験に基づく実質的な指揮能力の涵養という要請とをいかに両立させていくかが、警察官僚制度における重要な論点であり続けるものと考えられる。
※本稿の年齢・経験年数の数値は、上記各記事等で紹介されている一般的な目安を整理したものであり、警察庁が公式に公表している確定数値ではない点に留意されたい。
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