人と職業
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人と職業(計量計測データバンク 編集部)
東京大学本郷付近の風景(大学は荒れている)
(タイトル)
人と職業(計量計測データバンク 編集部)
(本文)
その1 職歴を詐称して入社する詐欺師
職安に紹介された中年過ぎの男が履歴書を示して面接を受けて採用された。世に聞えた職場で仕事をした履歴が記してあった。雇用者は履歴を額面通りに受け止めて採用した。ある事業部の次長職であった。男はチャラ男で調子が良い。与えられた仕事が全くできないことにの職場の人々は唖然とした。パソコンを使って文章をつくるはできない、会計のための数字を打ち込むこともできない。人との融和もできない。そのうちに事業所にある名簿を盗み出してお金に換える悪事がばれた。この職場は役所に準じる地位にあり責任者は日本で一番か二番の名高い大学をでて国家公務員をしていた人であった。
書類を盗み出しと職歴詐称を理由に解雇通知をした。解雇を予期して男は一人でも加入できる広域組織の労働組合に加入していた。解雇通知がだされつ労働組合員が職場に押し寄せて奇声を上げた。団体交渉の末に男は300万円の金を手に入れた。職場には3年いたのであるから雇った側の損害は大きい。男は似たようにして金を手に入れることを繰り返していたのかも知れない。
その2 IT技術分野の大学院修了者の就職事情
旧帝大の情報科学の分野の大学院修士課程修了者のところには日本の名だたる企業から求人がある。選り好みしなければ人がうらやむ職場への採用が決まる。エントリーして企業を訪問する就活とは無縁の世界だ。所定の情報技術を身についていなければ進めない研究室で2年間修養をする。これによってその分野の仕事の能力が確かめられる。社会の情報ネットワークの状態は世界に対して日本が大きく遅れていることを古賀茂明氏が指摘する。中央官庁と地方公共団体の業務のデジタル化とデジタルネットワークの構築が著しく遅れている。日本は情報科学の技術者が少なすぎる。これらIT技術者の養成が十分ではない。日本の教育体系に情報科学者の育成が盛り込まれていない。情報科学の技術者はIT企業に6割ほどが集積している。ITとデジタル化の推進のためには社会の側との人員比率は4対6であるべきなのだ。社会に情報科学の技術者が配置されていないのが日本の社会である。
デジタル化を推進するためには社会の側に6割のIT技術者がいなければ推進速度は遅滞する。国の機関である省庁は急遽IT技術者を募集している。社会のあっちからこっちにIT技術者を移動させても日本全体としてはIT技術者が不足している状況は変わらない。省と省、省と地方公共団体が情報を共有してデジタルネットワークで結ぶためには、それぞれの職場で情報を結ぶための推進役としてIT技術者が働くことになる。IT技術者が決定的に不足する状況があるから政府によるデジタル庁の創設があっても掛け声ほどには成果が上がらないのではないか。比較すべきは海外との対比だ。
その3 海外でつくって海外で売る時代
日本の中小企業が世界に羽ばたき世界で商売する現状はどのようであろうか。自動車はアメリカでつくらないとアメリカでは売ることができない。高い関税障壁があるからだ。米国に工場を設置して米国でつくって米国で売る。日本の計量計測機器企業に似た現象がある。アジアの好適地で生産してアジアに売る。アジアでつくって世界に売ることができればいいのだがそれが何処まで可能か。
日本の企業は中国や台湾そして韓国の企業に負けるようになった。太陽光パネルにこれが象徴される。液晶も同じであり世界の亀山はやがて忘れ去られる。シャープは台湾の企業に買われた。韓国でも中国でもインドでも自動車をつくっている。
情報技術を基礎にした社会経済に根ざす技術やネットワーク産業で日本は米国、中国、韓国に後れをとる。マイクロソフト、アマゾン、SNS、その他。新型コロナウイルスのワクチンを自国開発することを放棄してしまったことに象徴される米国へのおもねり姿勢がこの国の遅れの元になっている。
その4 ANA、JAL、JR人気は勘違いによる
大学新卒者の人気企業の未来は明るくはない。現代の航空技術からすると旅客機は低価格で大量生産することができる。国際競争が激化すると成長は望めない。脇道に逸れた事業にのみ可能性があるのが航空旅客業なのである。大手銀行の人気は少しの高賃金を安定度と社会の評判背景にしている。1970年当時、東京大学経済学部のゼミの教授は生涯賃金を算出して大手銀行がもっとも大きいことを算出してゼミ生を銀行に送り込んだ。この事実を東大経済学部長していた宇沢弘文氏が明かす。社会の安定と経済成長というある条件のもとで算出されたのであった。銀行は大波に揺れさらにこの先店舗数を減らす。車付きの店長の職は夢の世界になっている。街のATMのその先には情報ネットワーク上の決済が進行する。超低金利のもと資金需要がどこまであるのか。JR人気も安定性とその職務が人の目に触れることによる。1970年ころJRは縁故で採用がなされていた。JRは赤字続きのため民営化された。安定した職場ではなかった。高校卒業者が就いていた鉄道運行業務に一般職や技術職の大卒者が当てられる。東京大学法学部を出た人はJRでの仕事をどのように想像するのか。鉄道を走る列車がそのまま空を飛んで海を渡って中国やヨーロッパに行く事業を思い浮かべているのかもしれない。
ニトリという家具会社に北海道大学から大量に入社している。家具のほかホームセンター事業に手を広げ、その先に新規事業を興そうとしている。アイリスオーヤマが家電を大展開している。大手電機メーカーの技術者を雇い入れてその分野の商品を開発して売り上げを伸ばしている。北海道大学や東北大学を卒業する人は親に企業や職場をどのように説明し納得させるのだろう。
その5 ビル・ゲイツとスチーブ・ジョブス
東京大学の技術系大学院で学んでいる人々は就社をしない。大学院で研究活動をしていると技術の隙間、社会の需要の隙間が見える。隙間にはお金が埋まっている。隙間に適合する小さなビジネスがあるのだ。隙間を埋めるビジネスによる収入は新卒者の給与を埋めて余りある。投資先を探しているファンドは損しても構わない。ある比率で事業が成功すれば利益がある。社会を革新する技術は東京大学の大学院などの学生が背負っていることが多い。ファンドは企画が失敗しても組織を組む学生に負担をもとめない。それほどにファンドには金があり政策がある。ファンドは東京大学の理工系大学院の学生に資金を惜しみなく注ぐ。市場が拡大しないなかでの株式市場への投資に比べれば面白みがある。マイクロソフトのビル・ゲイツは在学中に起業している。アップル・コンピュータのスチーブ・ジョブスは大学を横道に逸れた人であった。重厚長大の設備産業の分野では個人が起業することはできない。知恵と技術によって創り上げるビジネスがやがて社会を変革する。東大の理工系は8割が大学院に進む。大学生として訓練されているのは理工学系の大学院生(マスターコース)だけである。
その6 大学生の数 1951年に22万人、2021年260万人
1951年に22万人であった大学生が2021年には260万人に増えている。学生を高等教育を受けたにふさわしい知識を身につけた者ときめてみれば日本は知識を備えた人があふれた社会であることになる。社会が高度な知識を身につけた者を求める規模を10倍に拡大していれば260万人の大学生は学卒者にふさわしい職業に就き仕事をすることができる。高校卒業者の6割が大学に進んだ集まりが260万人である。1951年に高等教育を受ける者は10%に満たなかった。
その7 能力認定機能としての技術系大学院
大学卒業の資格を手にして就職戦線に躍り出る者の知識力や働く能力には差がある。知識力の差は高度な知能労働をする分野では働く能力の大きな差として表出する。技術分野での能力の確認の方法の一つはIT技術分野では大学院修了者であるかどうかだ。技術能力と知識の備えがなければ大学院に進むことができない。大学院での研究で能力が試され。研究のテーマ設定は教授の指導によるとしても研究をまとめ上げるために二年を費やす。家庭教師のアルバイトをするいとまなどない。特定分野における知識と技術能力が大学院修士課程修了によって確かめられる。大学院生に求職票が届く。企業は情報科学技術者が欲しい。製造分野は嫌。銀行も嫌。証券も嫌。よりどりみどりで学生は企業を選ぶ。現在の日本の大学で自分で考えて研究分野に取り組んで論文を書くことを訓練して確かな能力を確認できているのはマスター(修士)コースの修了者である。
大学生の50人のうち30人は日本語をまともに書くことができない。経済学部のある教授は課題のリポートの文章に経済用語が一つでも混じっていれば単位を与えることにしている。日本の大学生は○×式回答方式で物事を考えている。会話に正解の言葉が氾濫するのはそのためだ。日本の学生は学歴を欲しがるが学んでいない。日本が外国に後れをとる要因の一つである。
その8 50人の採用に5,000人の応募の対処方法は学校名で足切り
能力と大学の関係はだいたいは定まっている。表向きは学歴不問でも50人の採用に5,000人の応募があれば大学の名前で足切りをする。東京大学は優秀な人を輩出する。テレビなどマスコミに登場する人の学歴は東大卒が絶大だ。職種によっては雇われた東大卒が仕事できないことがある。採用の効率のために大学名で足切りをする。採用してだめだった東大卒業者を課長の先の職階で分けるのが中央官庁だ。職種によって人の能力は発揮に差異がでる。
その9 働く力と学校歴は完全には一致してはいない
日本の人々は楽して暮らしをすることを望む。努力しないで楽することを望む風潮の広がりがある。楽するための確実で手近なことは良い学校に進むことだ。東京大学に入学することを目的にして勉学する。東京大学を卒業した先の姿を思い描く。有名な企業と国家公務員がそれだ。楽して暮らすために学校歴の階段を登ってきたきた終着点次のことだ。社会の評価の高い企業に、あるいは役所に入ること。大手銀行、総合商社、国家公務員になることだ。このことによって苦労せずに無理せずに楽で平和な暮らしを手にすることができる。迷いなくそのように考える。高等教育の修了者に備わっている能力に怪しさが付いて回るのが日本の学校制度だ。就労しても能力が組織が求に見合わないことがある。能力が余っていることは不満になる。能力が不足すると居心地が悪い。東大出てても駄目な人がいるのは普通のことだ。ある人はそのような人のために博士論文を書いて通した。本人には二本目の博士論文であった。希望と能力との不釣り合いは普通に生じる。仕事の内容を知っていて選んだのではのだから、3年辛抱してそれでも嫌なら辞めれば良い。国家公務員の総合職(旧Ⅰ種)で採用された職員が直ぐに辞めることが目立っている。国家公務員の賃金は若いうちは特に低い。転職しても賃金は下がらない。国家公務員キャリアとして在職した経歴は民間企業で働くときに役立つ。働く能力と学校歴は必ずしも一致しない。発達障害、学習障害を背負った人がいる。職場にある複雑な事柄や過労などが人の精神に変調を及ぼす。虚ろな表情で職場にいて、空回りか遅滞きわまりない就労をすることは希ではない。
その10 勉学への意欲と社会で生きる意欲は別物だ
自分がなした仕事はできあがってみれば、なにがしかの感動をもたらす。事務的な無機質な作業の積み重ねによってもたらされるものであっても形になった仕事に人は感動する。成し遂げた仕事から次の発展の方向性が見いだされれば感動は倍加する。感動は次の行動の源である。意欲の発生源は感動である。「感動することを忘れた人は生きていないのと同じである」というアインシュタインの言葉がある。意欲することが人には備わっている。意欲は創造を生み出す。人間の歴史はそのようなことである。猿は何年生きていても幾世代を経ても猿であり生活様式はかわらない。人は仲間や家族に意欲がキラキラと見えていると頼もしい。成績が何時でも一番になる高校生がいた。大学に進んだ。4年して男は大学を出た。男社会に融合し生きていく力が16歳のときにはなかった。4年してもこのことは変わらなかった。世間がうらやむ職に就いた。男は仕事をすることができなかった。人の能力とは何かを考えさせる。
(文章は計量計測データバンク 編集部)
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金曜日、思いついて新宿から松本に向かう。塩尻駅で降りた。
東京の桜は散って新緑の季節になりました
武田信玄の北条との決戦地の三増峠近くの枝垂れ桜
(季節は2カ月と半分ほどで夏至になる)
北杜市実相寺の山高神代桜は甲府盆地の桃の花と開花時期が同じです
(関東地方の春分の日は雪が舞い河口湖では28㎝も雪が積もりました)
陽だまりでは梅の花が土手にはスミレが咲く
5月になれば水田に映える常念岳を見に安曇野にでかけよう
埼玉県吉見町の栽培農家で買ったイチゴは甘かった美味かった
富士山の雨を集めた山中湖は忍野をへて津久井湖で道志村に降った雨と合流する
槍ヶ岳 霧ヶ峰からの遠望(高原の秋の始まりのころ)
山みちで老いたキツネにであう 旅行家 甲斐鐵太郎
数学者も物理学者も現在持つ知識は写し取って得たものである
(インターネットで拾った文章を繋げて出来上がるニュース報道)
数学と物理学者が事実として構想することと実験によって確かめられる事実
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