太陽光発電が原子力や水力を上回る
Solar power surpasses nuclear and hydropower
(9.3%の太陽光発電は、原子力5.9%や水力7.8%の発電割合を上回るようになった)
太陽光発電が原子力や水力を上回る
太陽光発電が原子力や水力を上回る
計量計測のエッセー
太陽光発電が原子力や水力を上回る
2021年度に9.3%の太陽光発電が原子力5.9%や水力7.8%の発電割合を上回る
(タイトル)
太陽光発電が原子力や水力を上回る
(本文)
技術の目論見として立てていた計画が夢物語として瓦解した。ウランを再処理して使う計画である。高速増殖原型炉「もんじゅ」はお金をかけ時間をかけても実現に至らず廃炉が決定し、2022年4月22日の時点で、原子炉容器内の124本の全ての燃料体を取り出して炉外燃料貯蔵槽に移送する作業終了した。高速増殖炉の燃料として使われていたのは、原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4%~9%に高めた液体状の核燃料である。混合型の核燃料を確実に燃焼させる技術の完成に見通しが付かなくなったことが2016年12月21日になされた廃炉の決定である。
「もんじゅ」の冷却材である金属ナトリウムは、200℃以上の高温で運用されており、空気中の酸素に触れと自然に発火する。1995年には二次冷却系で圧力型温度計が破損して金属ナトリウムが640kg±42kgが漏洩して火災をひきおこした。圧力型温度計は設計仕様の応じたものであり、圧力型温度計に問題があったのではなく、システムそのものの仕様に欠陥があった。原子炉直近での火災は原子炉の破損と暴走につながる。この事故は国際原子力事象評価尺度ではレベル1と判定されたものの、事故への対応の遅れや動力炉・核燃料開発事業団による事故隠しが判明している。この事故によって「もんじゅ」は2010年まで運転を停止していた。
核燃料のウランは再処理すれば永遠に使えるという理屈で原子力発電が推進されてきていた。「もんじゅ」の廃炉決定によってこの論理が破綻した。すると推進側は原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを既存の原子力発電施設で燃料に混ぜて使う計画を打ち出した。この混合燃料を使用することによって原子力発電の危険度が増大することは確実である。
日本の原発施設は津波被害の危険度が大きく、断層帯にある立地になっている。日本の東海岸では周期的に大地震と津波が発生する。日本海側にもそれがある。新潟や福井の大地震は昔のことではない。2011年3月11日の東日本大震災における福島第一原発の事故はそのまま日本の原子力発電所で発生する状態として変わりはない。
2022年ウクライナでは原子力発電施設では危険な状態が出現した。2月24日にはチェルノブイリ原子力発電所で正体不明の武装勢力との間で石棺化施設の周辺で戦闘があった。3月4日には、ザポリージャ原発への攻撃があった。運転中の原子炉の損壊は免れたものの付属施設が攻撃を受けて、原子炉のモニタリング・ポストの情報転送は停止したままである。
原子力発電所に爆弾が落とされたらどうなるか。福島第一原発以上の被害になり、幾つかの原子力発電所が破損すると日本列島は放射線に汚染されて人が住めなくなる。自力で飛行する爆弾であるミサイルは日本の原子力発電所を攻撃しうる。普通の爆弾によって日本に核爆弾が爆発したのと同じ状況をつくり得る。原子力発電施設は日本の核兵器による滅亡のための自爆装置なのだ。
原子力の燃料となるウランは原子力発電のために再処理して使えないことがは高速増殖炉「もんじゅ」の実験によって判明しておいる。資源エネルギー庁発行の「エネルギー白書2007年版」は、原子力を含んだ場合の2004年の日本のエネルギー自給率は18%としている。天然ガスや原子力の燃料となるウランは全量が海外から輸入されている。それを含まないと自給率はわずか4%であった。
かつてはベース電源と表現していたのが原子力発電であった。東日本大震災のあった2011年度における原子力発電は割合を下げた状態で9.3%、これが2018年度には6.2%に落ちている。原発の運転に国民の理解が得られないからだ。2018年度の発電総量に占める割合は次のとおり。天然ガス38.4%、石炭31.2%、石油その他7.3%、原子力6.2%、水力7.7%、水力を除く再生可能エネルギーは9.2%で太陽光6.0%、風力0.7%、バイオマス2.3%、地熱0.2%。2018年度以降2021年度にかけては太陽光発電は6.0%から9.3%に伸びている。2021年度においては原子力発電が稼働していないこともあって9.3%の太陽光発電は、原子力発電5.9%や水力発7.8%の発電割合を上回るようになった。
夏季の家庭での冷房需要の高まりによって電力供給能力が不足することを危ぶむことを政府が述べている。日本の製鉄所など企業の発電設備を利用すれば電力供給に余力があることは2011年の電力危機のときに判明している。原子力発電の過程で生みだされるプルトニウムは核兵器の主材料である。原子力発電は核武装のために用意されているという関係性をもつ。内閣の枢要にいる通産省出身の官僚は小さな原子炉が実現可能な状態であることを宣伝し、原子力発電の再稼働を推進している。
原子力発電は核燃料をつくる過程でも、保管し、あるいは処理する過程でも莫大な電気エネルギーを要する。電気エネルギーが化石燃料の燃焼によってつくられていることから、原子力発電は脱炭素でも省エネでもない。
2022-06-09-solar-power-surpasses-nuclear-and-hydropower-
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