イノベーションと経済発展と景気循環
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イノベーションと経済発展と景気循環
ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター
Joseph Alois Schumpeter、1883年2月8日 - 1950年1月8日は、オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者。元アメリカ経済学会会長。企業者の行う不断のイノベーション(革新)が経済を変動させるという理論を構築した。また、経済成長の創案者でもある。
(タイトル)
イノベーションと経済発展と景気循環
(本文)
人類は文字を用いることによって、思考あるいは脳の働きの一部を外部に置き換えてきた。生身の人間の思考や脳の働きが外部に置き換えられ、それが知識として貯えられ、活用されているのがAIあるいは生成AIである。人が知識の働きを生成AIに求めるとき、生成AIを働かせるための主体的立場としての知恵を貯えておかねばならない。このことこそが、現在とこれからにとって重要なことである。
人類史における技術革新はどのようなものであったか。次のように説かれることが多いので、これを概観する。
技術革新とサイクルの歴史ということで、およそ50~60年ごとに大技術が起こり、それが経済を牽引し、社会を変えてきた。
- 1次技術革新:蒸気機関・繊維工業(18世紀末~)
- 2次技術革新:鉄道・鋼鉄(19世紀中頃~)
- 3次技術革新:電力・自動車・化学(19世紀末~20世紀初頭)
- 4次技術革新:エレクトロニクス・石油化学(20世紀半ば~)
- 5次・6次技術革新:IT(情報技術)・AI(人工知能)や再生可能エネルギーなど
以上のようなことであるが、人の労働に代わる機械の働きとしては蒸気機関がその代表であり、これによって産業革命が起こり、それまでとは社会の形態が変革し、本格的な資本主義経済が始まった。
現代ではAI(人工知能)による知的な作業の代行がもたらす社会変化に注目して、これを「5次・6次技術革新:IT(情報技術)・AI(人工知能)」と位置付けることがあるが、これは少し大げさなように思われる。
それでも、技術としての大きな波が経済に押し寄せるようになると、それに連動して社会が変わる。経済の新しい大きな革新的な波は、経済変動と社会変動をもたらす。現代の資本主義経済における景気変動の要因のうち最大のものが技術革新である。技術革新こそが経済を発展させる、というのがシュンペーターの述べたことであり、社会に広く受け入れられている通説である。
詳しく述べると、シュンペーターが主張した本質的なイノベーションとは「技術革新」そのものではなく、既存の要素を組み合わせる「新結合」のことである。シュンペーターのいう「イノベーション」の正体、すなわち新結合(New Combination)とは、ゼロから全く新しいものを生み出すことではなく、既にあるモノやアイデアを新しい方法で結びつけることである。
技術に限らない5つの類型として、①新しい財・サービスの生産(プロダクト)、②新しい生産方法の導入(プロセス)、③新しい販路の開拓(マーケット)、④原料の新しい供給源の獲得(サプライチェーン)、⑤新しい組織の実現(組織・独占の形成)がある。
「技術革新」という訳語の背景にも触れておきたい。日本では1950年代の経済白書において、「イノベーション」が「技術革新」と訳されて広く定着した。このため「テクノロジーの進化=経済発展」という狭い解釈が一般的になっているが、シュンペーターの定義では、ビジネスモデルや組織、市場の開拓なども含まれる広い概念である。
このように広い概念であるイノベーションは、同時に景気循環の大きな要素となる。発展と停滞と更なる発展という社会と経済の動きの基礎的要素となっているのが、イノベーションであり技術革新である。
次に景気変動について立ち入る。
新しい技術が普及し、機械が労働に代わる。その「上昇期」には世界経済が大きく成長する。技術が飽和して需要が一巡すると「下降期・不況期」を迎える。
資本主義経済では、景気は「好況、後退、不況、回復」の4つの局面に分かれ、規則的な波としての景気循環を繰り返してきた。その中で、過剰生産による経済恐慌が周期的に発生した。
景気変動の仕組みと恐慌の発生について述べる。好況期には、企業の生産や設備投資が活発になり、賃金や需要が増えて景気が良くなる。しかしその一方で、過剰生産が引き起こされやすくなる。儲けを追求するあまり、商品が市場の需要を超えて造られ続ける。需要を超えた供給状態は、商品の売れ残りや価格暴落を招き、企業倒産をもたらし、失業者を急増させる。これが大きな形で発生するのが資本主義における経済恐慌であり、その代表例が1929年10月、アメリカのニューヨーク証券取引所での株価大暴落を発端とする世界恐慌である。アメリカの銀行や企業が倒産し、その影響がヨーロッパや日本など世界中に一気に広がった。
次に、主な景気循環としての4つの波を取り上げる。
このうちコンドラチェフの波は、ロシアの経済学者ニコライ・コンドラチェフが1925~1926年に提唱したもので、主に画期的な技術革新(イノベーション)や新市場の開拓、戦争などが原因で引き起こされるとされる。
景気循環の4つの波
経済学では、期間の長さによって主に4つの景気循環が知られており、コンドラチェフの波はその中で最大のスケールである。
| 循環の名称 | 周期 | 要因 |
|---|---|---|
| キチンの波 | 40か月(3.3年) | 在庫循環 |
| ジュグラーの波 | 10年 | 設備投資循環 |
| クズネッツの波 | 20年 | 建築循環 |
| コンドラチェフの波 | 50~60年 | 革新的な技術革新や社会構造の変化 |
以上のように、人類の社会活動の中で起こる技術革新は社会発展をもたらす。その一方で景気変動(循環)の原因ともなり、ときには経済恐慌が発生して人々に不幸をもたらす。
現代社会では、実体経済から分離してしまった巨額のお金が勝手な振る舞いをすることによって、通貨危機と経済危機をもたらす要因になっている。一部の大資産家から大量の資金を集め、利益追求だけに走るのがヘッジファンドである。ニューヨークの高級住宅に住む新興成金には、ヘッジファンドに勤務する人々が多い。日本でも、高収入を求めて高学歴者がこの方面に職を求める。収入だけを求めて動いていく、いわば資本主義の奴隷のような人々の行動とその心理の奥底にこそ、次の経済恐慌の原因と要素が潜んでいる。
[資料]
計量計測データバンク ニュースの窓-422-通貨の発生を物語るローマ帝国時代の銀含有量の極限までの低下(貨幣である金と銀が示す通貨発生の原理)
計量計測データバンク ニュースの窓-425-現代の資本主義を分析するマルクス主義経済学視点と近代経済学視点の比較(経済を解かろうとする取り組み)
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