日本計量新報一面記事です。 2018年09月09日号(3208)1面 2018年09月02日号(3207)1面 2018年08月26日号(3206)1面 2018年08月12日号(3205)1面 2018年08月05日号(3204)1面 2018年07月29日号(3203)1面 2018年07月22日号(3202)1面 2018年07月15日号(3201)1面 2018年07月01号(3200)1面 |
私の履歴書 高徳芳忠(たかとく・よしただ)(日本計量新報デジタル版) 神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その27- QCサークルができて活動がはじまった 計量中に排出ゲートからわずかな漏れが原因の誤計量が重役まで聞こえてしまった。それが失敗が教えた知恵になった。 QCサークルができて活動がはじまった 熱電対保護管 測ることに一生懸命の日々であったが、振り返って見ると失敗もしている。その1つは熱電対保護管の挿入深度不足であった。当時「考える小集団活動」なるものが奨励されあちらでも、こちらでも“QCサークル”が出来て活動が始まった。 改善活動を進めてくれるのは良いが、職制を離れて独自の判断が入ってくるのが恐ろしい。高温ガス温度測定のためにはそれに耐えうる高級な保護管を使うのだがこれの単価が高い。しかも高い割には持ちが悪く、1カ月と持たない。これが改善活動の対象となり、あるとき挿入深度を浅くしたら持ちが良くなった。これは良い事だとその改善サークルの判断が出て、更に短くした。これを繰り返しているうちに、その設備の温度が次第に高くなり破損するという大事故を招いた。 計装工事基準には当然のことながら、挿入深度は定めてある。しかしPRも足らなかったためか、教育が及ばなかったためかこのような失敗をしてしまった。これは今から30年も前の苦い経験であるが、その後20年も経ったであろう、今から10年程前に敦賀の原発で似たような事故を起こしている。 同じ失敗でも計測仲間の内々でことが片付く類のものは、アースの取り忘れで指示誤差を出したり、同じく電気溶接機のアースが不十分であったために、はかりの刃をぼろぼろにしたり、他にも計装配線の間違いなど枚挙に暇がない。 排出ゲート 先の熱源対保護管の失敗のように工場内、至っては重役まで聞こえてしまったものとしては、秤量機でのトラブルがある。製鋼工場の合金鉄秤量機ではクロム鉱石を測っていたが、年の半ばよりクロムの歩留まりが良くなったと聞きそれは良いことと喜んでいた。ところが暮になって資材よりクロム鉱石の在庫量が帳簿と合わないと言って来た。購入時のトラックスケールは間違いないし、不正計量が入ったことも考えられない。合金鉄秤量機に検査成績も公差以内である。こうなれば「真実を教えてくれるのは現場である」と張り付いてみた。 判ったのは排出ゲートの漏れ、計量中に僅かながらも漏れて出ているのを発見した。年の初めにあちこちに謝りに行くこととなった。そしてこのゲート全閉の信号を取り、それが入らないと、計量開始はしないことにした。昨今では常識であるが、これも失敗の積み重ねが教えた知恵であろう。 (つづく) 私の履歴書 高徳芳忠(たかとく・よしただ)(日本計量新報デジタル版) 神戸大学計測工学科をでて製鉄会社で計量管理の仕事をした男の記録 -その27- QCサークルができて活動がはじまった 計量中に排出ゲートからわずかな漏れが原因の誤計量が重役まで聞こえてしまった。それが失敗が教えた知恵になった。 |