地震予知に執着する矢野宏氏と鴨長明の大地震のこと
長野県松本市の安曇野、大正池の風景。大正池は池の左手にある焼岳が噴火して梓川が堰き止められて形成された。現在は観光のために浚渫して池としての形を残している。いまなお噴煙をあげる焼岳ではマグマ活動にともなう地震が頻発する。
(タイトル)
地震予知に執着する矢野宏氏と鴨長明の大地震のこと
(本文)
日本国がかかえている社会と経済の要素にかかわる大問題は人口が急激に減少することである。明治明治5年(1872年)の人口は、3,480万人であった。1904(明治37)年には、4,613 万人となった。 1912(明治45)年に、5,000万人 を超え、1936(昭和11)年には、明治初期の人口の倍となる6,925万人となった。2022年の日本人の総人口は1億2,322万3,561人で、13年連続で減少。総務省の2022年8月9日公表の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態および世帯数」による。 遠くない将来予測として2050年をとりあげると日本人の総人口は9,515万人となり、3,300万人(25.5%)減少する。高齢人口が1,200万人増加するのに対し、生産年齢人口は3,500万人、若年人口は900万人減少。高齢化率は約20%から約40%に上昇する。人口予測手法は精度を増していることを考慮しておきたい。
日本人の人口の縄文時代以降の推移は次のとおり。縄文時代後期は26万人、弥生時代後期は59万人、奈良時代は550万人、平安時代は644万人、鎌倉時代は757万人、室町時代は818万人、戦国から江戸時代(1600年代)は1,227万人。鎌倉時代の人口を500万人と推計する資料があるから表記の数値を同様にとらえておくとよい。
人口が減ることは経済活動の規模が減ずることと考えてよい。28年後の日本人の総人口は9,515万人であり3,300万人(25.5%)減る。経済活動の一形態である建設業は前年と同じだけの売り上げを目指して企業活動をする。東京オリンピックは建設業、とりわけゼネコンには稼ぎ時であった。企業は売り上げの持続を続けたいが社会と経済はその要素を現ずる。世界の都市がそうであるように日本の都市には超高層ビルが林立する。建築会社はビルを造ることで仕事を事業を継続する。銀行は建設会社にお金を貸し付ける、金融機関はお金を貸すことで利益を得る。都心部の半円10kmの土地でビルを造る。1億2,322万3,561人から9,515万人に減じた日本人の人口に見合う経済と社会が求めるのは、鉄道、道路、橋梁など社会インフラは持続のための整備費である。目をつぶれば地方の道路にかかる橋は朽ちて交通のための機能を失う。都市に群がる建築業と企業活動はバベルの塔の建設と同じではないか。
「方丈記」に鴨長明が書き残す。元暦(げんりゃく)二年(1212年)の地震のことだ。
「おびただしく大地が揺れ動いた。山は崩れ、川を埋め、海は傾いたように陸地を浸す。土は裂けて、水は吹き出し、巌(いわお)さえ割れて、谷へと転げ落ちる。渚を漕ぐ船は波にもてあそばれ、道をゆく馬は、ふらついてとまどう。みやこの堂舎(どうじゃ)、塔廟(とうびょう)は、ひとつとしてそのままではいられなかった。あるものは崩れ、あるものは倒れた。塵と灰は立ちのぼって煙のようだ。大地の動き、家の壊れる音、まるで雷(かみなり)のように響き渡る。家の内にいれば、たちまち潰されそうになる。走り逃げれば、地面が割れ裂ける。あらゆる怖ろしさのなかに、もっとも怖ろしいものは地震であるということを悟らされる。」
東南海地震の周期は到来している。戦争末期に発生したこの地震は国によって伏せられたきたために人々の記憶に薄い。関東大震災の首都直下型の再来は避けられない。高層建築物のある都市に人が密集していれば被害は大きくなる。三陸地方に甚大な被害を及ぼした地震と津波とそれに伴う大火が、東京でなくてよかったのであったが、その東京と大都市が同じように地震に襲われる。地震予知に品質工学の矢野宏氏が執着している。首都と大都市の現状では予知しても施すことができる手立ては限られている。大地震が発生する地域は日本を含めて広くはない地域である。ニューヨークやヨーロッパの主要地域と同じような都市構造になっている日本の現状は地震の頻度を考慮すると間違っている。京の都の高い建物は一つとしてそのままではいられなかった鴨長明の時代の大地震を教訓にしなければならない。
2022-11-29-hiroshi-yano-obsessed-with-earthquake-prediction-and-the-great-earthquake-of-kamo-chomei-
【資料】
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新型コロナウイルス、現在の感染者・死者数(18日午前2時時点)AFP 2020年3月18日 5:23発信地:パリ
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(不適切な表現などについては意に反するものですのでご容赦ください)
2020-06-15-japan-frightened-by-covid-19-and-evacuated-to-a-cave-for-3-months-
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