学者ニュートンを刺激したロンドンのコーヒーハウス
London coffee house that inspired Newton
ハレー彗星の発見者ハレーとイアイザック・ニュートンの交流である。ハレーがニュートンを尋ねたのはニュートン41歳。ハレーは20代であった。太陽系の惑星が太陽の引力の影響下で描く軌道を引力が距離の二乗に反比例するときに描く軌道はどのような形かと聞いた。ニュートンは即座に楕円と答えた。
弾性に関する法則であるフックの法則で知られる。フックはオックスフォード大学ウォドム・カレッジで学び、ジョン・ウィルキンズを中心に結成された王党派の一団に参加。医学者トーマス・ウィリスや化学者ロバート・ボイルの助手をつとめ、ボイルが気体の法則を見出した実験に使った真空ポンプの製作を手伝った。

学者ニュートンを刺激したロンドンのコーヒーハウス
学者ニュートンを刺激したロンドンのコーヒーハウス
計量計測のエッセー 
学者ニュートンを刺激したロンドンのコーヒーハウス


アイザック・ニュートン - Wikipedia


エドモンド・ハレー - Wikipedia


ロバート・フック - Wikipedia

(タイトル)

学者ニュートンを刺激したロンドンのコーヒーハウス

(本文)

 人は知っていることだけにこだわって、その知識をもとにして同じところをグルグルまわりして内に籠(こも)りがちである。外の世界、広い世界に向かう意識を養うことが肝要だ。このようなことを助ける場がフランスにおけるサロン、そしてイギリスにおけるコーヒーハウスであった。

 ある時代のイギリスのコーヒーハウスは次のような事情であった。

 ロンドンのコーヒーハウスは文人の集まるところ、科学者が集まるところ、政治家が集まるところ、法律家が集まるところなど様々に分かれていた。コーヒーハウスは情報収集と交流と議論の場であった。フランスにおけるサロンに似ている。

 コーヒーハウスは会話を楽しむ場でもあり、新しい知識を得る場になっていた。1650年過ぎのドンドンの社交場がコーヒーハウスであった。コーヒーハウスに出かければ新しい科学の出来事、つまり発明や発見の新しい知識が得られる。政治や経済や産業の最新情報に接することができる。コーヒーハウスは魅力に満ちた情報が集まる場であった。集まる情報は知的な発想を刺激する。

 コーヒーハウスに集まる専門家に目新しい情報を提供したのがジャーナリズムであった。ジャーナリズムはイギリスの専門分野の社交場に集まる人々に最新の情報を提供するために生まれた。コーヒーハウスには集まる人々の関心に応える専門の新聞や雑誌が置かれた。オックスフォード大学の科学者のフックやレンとコーヒーハウスで交流したのがエドモンド・ハレーであった。エドモンド・ハレーは当時すでにロンドンでは名高い若き気鋭の科学者であった。エドモンド・ハレーはフックやレンとの話を通じて、ニュートンこそが惑星の動きを計算できる唯一の人であると考えた。エドモンド・ハレー自身もまた一流の科学者であった。

 物理学者のコーヒーーハウスにおける交流の事例を引こう。

 ハレー彗星の発見者ハレーとイアイザック・ニュートンの交流である。ハレーがニュートンを尋ねたのはニュートン41歳。ハレーは20代であった。太陽系の惑星が太陽の引力の影響下で描く軌道を引力が距離の二乗に反比例するときに描く軌道はどのような形かと聞いた。ニュートンは即座に楕円と答えた。ハレー彗星は、75.32年周期で地球に接近する地球から肉眼で見える唯一の短周期彗星であり、人によっては唯一生涯で2度見ることができる。ハレー彗星は周期彗星の中で最初に知られた彗星だ。1986年2月に回帰した。2061年夏に出現する。ハレー彗星を発見したのはエドモンド・ハレー。ニュートンのプリンピキアに導かれてハレーは1705年にハレー彗星を含め24種の彗星の軌道を計算して「ynopsis of the Astronomy of Comets」(彗星天文学概論)に記述した。

 神学はケンブリッジ大学の基礎になっていてニュートンは他のフェローと同様に神職に就くことが義務付けられていた。ニュートンは特例によって神職に就くことを免れた。物理、数学、天文学の知識が秀でていたことによる。ニュートンにとって物理、数学、天文学は神がつくった世界を追究をすること、つまり知識を総動員して神がつくった真理を解き明かすことであった。ハレーがニュートンに会ってから一年半後の1686年にニュートンはプリンキピアこと「自然哲学の数学的原理」を脱稿し王立協会に提出した。ハレーは校正を引き受け、また刊行費用を負担した。プリンキピア誕生にまつわる話だ。

 ニュートンの時代までに数学ではフェルマーの微分法、ワリスの積分法、バローによる微分法と積分法の統一などの成果があった。ガリレオ・ガリレーは力学運動の三法則のうち二つを解明していた。天文学ではケプラーが天体の運動法則を解き明かしていた。ニュートンは数学、力学、天文学の三分野を一つの統一した理論を編み上げた。これが「自然哲学の数学的原理」ことプリンキピアである。

 ロバート・フック(Robert Hooke、1635年7月28日から1703年3月3日)は、弾性に関する法則であるフックの法則で知られるイギリスの自然哲学者、建築家、博物学者。フックは生体の最小単位をcell(細胞)と名付けたことでも知られる。フックの法則は、力学や物理学における構成則の一種で、バネの伸びと弾性限度以下の荷重は正比例するというもので、弾性の法則とも言う。フックの法則が成り立つ物質が線形弾性体またはフック弾性体だ。

 フックはオックスフォード大学ウォドム・カレッジで学び、ジョン・ウィルキンズを中心に結成された王党派の一団に参加。医学者トーマス・ウィリスや化学者ロバート・ボイルの助手をつとめ、ボイルが気体の法則を見出した実験に使った真空ポンプの製作を手伝った。最初期のグレゴリー式望遠鏡を作って火星や木星が自転していることを観察し、化石を研究して進化論を唱えた初期の一人となった。光の屈折現象を研究して波動説に到達。物体を熱すると膨張すること、空気が比較的まばらな微粒子でできていることなどを示唆した。重力が距離の逆2乗の法則に従うこと、惑星がその法則で運行していることにフックは気づいていた。

 以上が学者たちの交流の場であるコーヒーハウスにおけるこぼれ話だ。ここでの交流が知的を生みニュートン、ハーレー、ロバート・フックの業績が生れた。

 コーヒーハウスができてから50年後の1700年にロンドンにおける店の数は二千軒になっていた。サロンのパトロンは王侯貴族。コーヒーハウスには最新の話題を集めた雑誌が用意されていた。これがジャーナリズムの元である。現代におけるジャーナリズムのパトロンは一般大衆であり、そうした読者であると理解する。

2023-11-27-london-coffee-house-that-inspired-mewton-

[資料]
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旅のエッセー集 essay and journey(essay of journey) 

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