気象庁の気象測器の検定
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気象庁の気象測器の検定-計量豆知識-(計量計測データバンク編集部)
気象庁の気象測器の検定-計量豆知識-(計量計測データバンク編集部)2024-07-01-certification-of-meteorological-instruments-by-the-japan-meteorological-agency-
(大見出し)
気象庁の気象測器の検定-計量豆知識-
(リード)
気象庁は、国土交通省の外局として日本における気象業務を担当する責任を課されている。その中枢機関として、東京に気象庁(本庁)があり、地方支分部局として、札幌・仙台・東京・大阪・福岡の管区気象台及び沖縄気象台があり、その下部組織として、地方気象台・航空地方気象台・測候所及び航空測候所などがある。また、施設等機関として、気象研究所・気象衛星センター・高層気象台・地磁気観測所・気象大学校がある。
(本文)
気象観測に関する制度の概要と目的
政府機関または地方公共団体が気象観測を行う場合(研究や教育のための観測を除く)、もしくはそれ以外の方が観測の成果を発表するため、または災害の防止に利用することを目的として気象観測を行う場合には、次が気象業務法により義務付けられている(気象業務法第6条、気象業務法第9条)。
a、技術上の基準に従って行うこと。
b、気象観測施設の設置の届出を気象庁長官に行うこと。
c、検定に合格した気象測器を使用すること。
が気象業務法により義務付けられている。
この制度(届出・検定制度)は、我が国において行われる公共的な気象観測の品質を担保することによって、気象庁と気象庁以外の者による気象観測の成果の相互利用を可能にすることや、誤った観測値がもたらす社会的混乱を防ぐことを目的としている。
届出が必要な観測種目
気圧、気温、相対湿度、風向・風速、降水量、積雪の深さ、視程、日照時間及び日射量が対象。
気象測器の検定
届出を行う必要のある気象観測施設で使用する気象測器(温度計・気圧計・湿度計・風速計・日射計・雨量計・雪量計)については、検定に合格したものを使用すること(気象業務法第9条、気象測器検定規則第2条、第12条)。
検定の内容
検定では、その気象測器の種類に応じて材料、部品及びその組み合わせなどが適切であるかを調べる「構造検査」と、個別の精度を調べる「器差検査」の2種類の検査を行いう。また、気象庁があらかじめ構造・性能を検査する「型式証明」をした気象測器(型式証明測器最新順)については、「構造検査」を省略することができます。 これらの検査は、気象測器の種類に応じて、それぞれ定められた検定の合格基準に沿って行われる。
検定の有効期間
気象測器の測定原理、感部部分の素材、可動部の有無、屋外での使用など耐久性を考慮し、検定の有効期間を定めている。 風速計や雨量計などは可動部を有することなどから5年(気象測器検定規則第15条)。 現在、電気式気圧計及び超音波式風速計については、有効期間を設けない(有効期間が無期限)測器としているが、平成30年6月以前に検定を受けた測器については、検定証書に記載された有効期間が適用される。
検定の方法
検定の実務は、気象庁長官の登録を受けた登録検定機関((一財)気象業務支援センター)が行っています。検定の方法には、登録検定機関で気象測器の実器検査を受ける方法と、型式証明を受けている気象測器については、気象庁長官が認めた測定者(認定測定者)が、自らの検査設備で器差の測定を行い、測定結果報告書を登録検定機関に提出して書類審査を受ける方法とがある。登録検定機関では、検定を行い、合格後に検定証書を発行します。
気象業務法 第五章 検定
第二十七条 削除
(合格基準等)
第二十八条 第九条第一項の登録を受けた者(以下「登録検定機関」という。)は、別表の上欄に掲げる気象測器について、検定の申請があつたときは、その気象測器が次の各号のいずれにも適合するかどうかについて検査し、適合すると認めるときは、合格の検定をしなければならない。
一 その種類に応じて国土交通省令で定める構造(材料の性質を含む。)を有すること。
二 その器差が国土交通省令で定める検定公差を超えないこと。
2 登録検定機関は、第三十二条第一項の型式証明を受けた型式の気象測器について、前項の検査を行う場合には、同項第一号に適合するかどうかの検査を行わないことができる。
3 前項の規定により第一項第一号に適合するかどうかの検査を行わない場合における同項第二号に適合するかどうかの検査については、第三十二条の二第一項の認定を受けた者が国土交通省令で定めるところにより器差の測定を行つたときは、その測定の結果を記載した書類によりこれを行うことができる。
(検定証印及び検定証書)
第二十九条 検定に合格した気象測器には、国土交通省令の定めるところにより、検定証印を付する。ただし、その構造上検定証印を付することが困難な気象測器であつて、国土交通省令で定めるものについては、この限りでない。
2 気象測器が検定に合格したときは、登録検定機関は、検定を申請した者に対し、検定証書を交付しなければならない。
第三十条 削除
(検定の有効期間)
第三十一条 構造、使用条件、使用状況等からみて検定について有効期間を定めることが適当であると認められるものとして国土交通省令で定める気象測器の検定の有効期間は、その国土交通省令で定める期間とする。
(型式証明)
第三十二条 気象庁長官は、申請により、国土交通省令で定める気象測器の型式について、型式証明を行う。
2 気象庁長官は、前項の申請があつたときは、その申請に係る気象測器が第二十八条第一項第一号に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、前項の型式証明をしなければならない。
3 型式証明は、申請者に型式証明書を交付することによつて行う。
(測定能力の認定)
第三十二条の二 気象庁長官は、申請により、気象測器の器差の測定を行う者について、国土交通省令で定める区分に従い、その事務所ごとに、次の各号に適合している旨の認定をすることができる。
一 気象測器の器差の測定を行う者の能力が国土交通省令で定める基準を満たすものであること。
二 気象測器の器差の測定に用いる国土交通省令で定める測定器その他の設備が、国土交通省令で定める期間内に気象庁長官による校正その他国土交通省令で定める校正を受けたものであること。
三 気象測器の器差の測定に係る業務の実施の方法が適正なものであること。
2 気象庁長官は、前項の認定を受けた者(以下「認定測定者」という。)が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消すことができる。
一 前項各号のいずれかに適合しなくなつたとき。
二 不正な手段により前項の認定を受けたとき。
3 前二項に規定するもののほか、認定及びその取消しに関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
(登録)
第三十二条の三 第九条第一項の登録は、気象測器の検定の実施に関する事務(以下「検定事務」という。)を行おうとする者の申請により行う。
[登録検定機関]
一般財団法人 気象業務支援センター
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-17 東ネンビル
代表電話:03-5281-0440
気象測器検定の実施
同センターは、気象業務法(昭和27年法律第165号)第32条の3に定める登録検定機関としての登録を受け、2004年3月1日から気象測器の検定を実施している。
検定の実施場所等
実器検定および型式証明を受けた書面(測定結果報告書)による検定を、以下のとおり実施している。
検定の実施場所
一般財団法人 気象業務支援センター
測器検定室 検定所
〒305-0052
茨城県つくば市長峰1-2
気象測器検定試験センター内
TEL 029-869-8551
FAX 029-869-8552
E-mail kentei@jmbsc.or.jp
対象測器
ア、ガラス製温度計
イ、金属製温度計
ウ、電気式温度計
エ、ラジオゾンデ用温度計
オ、液柱型水銀気圧計
カ、アネロイド型気圧計
キ、電気式気圧計
ク、ラジオゾンデ用気圧計
ケ、乾湿式湿度計
コ、毛髪製湿度計
サ、露点式湿度計
シ、電気式湿度計
ス、ラジオゾンデ用湿度計
セ、風車型風速計
ソ、風杯型風速計
タ、超音波式風速計
チ、電気式日射計
ツ、貯水型雨量計
テ、転倒ます型雨量計
ト、積雪計
ナ、複合気象測器
検定の処理期間
検定の申請を受理した日から次の期間内に検定を完了する。
実器検定
日射計の検定については、天候の状況により、この期間内に検定を完了できない場合がある。
ア、型式証明を受けていない測器:50日以内
イ、型式証明を受けている測器:25日以内
測定結果報告書による検定
書面(測定結果報告書による検定):10日以内
運送業者による気象測器の送付
気象測器の各検定所への搬入・搬出については、申請者による直接の持ち込み・持ち帰りを原則としているが、精密機械を除く一部の測器については、運送業者による送付・返送を可能。この場合、検定所における開梱及び梱包に係る経費として、1箱あたり 880円(税込価格)を負担。
[資料]
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├計量法と気象業務法 二つの法律による検定とその理解(計量計測データバンク編集部)
├
├計量計測データバンク ニュースの窓-213-計量法の解釈 取引と証明(1)
├計量計測データバンク ニュースの窓-214-計量法の解釈 取引と証明(2)